龍光院縁起
藤木山龍光院福聚寺は真言宗智山派の寺院です。創建は定かではありませんが、江戸時代中期には頼宥和尚が中興されたとの記録があり、当時は不動山龍光院と称していました。寺の東にある天満宮を鎮守として祭り、また扇山の麓にある八坂神社の別当を務めていたようです。本尊は不動明王をお奉りし、3月28日のご縁日には、近郊の村々から講が集まり、虫加持のお不動さんとして護摩供養が盛大におこなわれていました。現在も、3月の最終日曜日に龍光不動尊大祭が春を呼ぶお祭りとしておこなわれています。また、境内には六地蔵や如意輪観音、弘法大師などの多数を石仏をお奉りしています。
さらに、近年には寺族による写仏の謹写が盛んにおこなわれ、仏画による曼荼羅が荘厳されています。ギャラリーは「密教の仏様」をご覧ください。
仏画の一例
・如来 金剛界大日如来、胎蔵界大日如来(中台八葉院)、釈迦如来、
阿弥陀如来
・菩薩 普賢菩薩、文殊菩薩、弥勒菩薩、金剛薩埵、観音菩薩、勢至菩薩
・観音 聖観音、千手観音、馬頭観音、十一面観音、准胝観音、
如意輪観音、白衣観音
・明王 不動明王、孔雀明王、愛染明王、降三世明王、軍荼利明王、
大威徳明王、金剛夜叉明王
・天部 帝釈天、火天、焔摩天、羅刹天、水天、風天、毘沙門天、
伊舎那天、梵天、地天、日天、月天(以上、十二天)、吉祥天】
・その他 十三仏、不動明王及び三十六童子
本尊 不動明王
本尊の不動明王は、一面二臂、像高90cmの立像であり、童子形でありながら引き締まった印象が特徴的です。厨子の左右扉には、矜羯羅童子と制吒迦童子が描かれ、火生三昧、七沙髷、辮髪、利剣、羂索などの不動十九観に則しています。
制作された年代は不明ですが、不動護摩供養の本尊として、長年にわたり祈念され続けた結果により、全身が煙や煤で黒く光っています。
真言宗における不動明王は、大日如来の教令輪身として、不動堅固な菩提心を持ち、煩悩を断滅し、一切衆生を即身成仏への直道へと引き込みます。
また、現世利益の霊験を証し、所願成就の仏様として、日本各所で不動明王は盛んに信仰されています。
甲州東郡七福神霊場
甲州東郡七福神霊場とは、現在の山梨県甲州市、山梨市の真言宗智山派に属する七カ寺によって形成されている霊場です。
第一番霊場 柏尾山大善寺 弁財天 甲州市勝沼町勝沼
第二番霊場 金剛山福蔵院 布袋 甲州市塩山下小田原
第三番霊場 八幡山神宮寺 寿老人 山梨市北
第四番霊場 藤木山龍光院 福禄寿 甲州市塩山藤木
第五番霊場 高橋山放光寺 大黒天 甲州市塩山藤木
第六番霊場 雁坂山圓照寺 恵比寿 山梨市牧丘町室伏
第七番霊場 徳和山吉祥寺 毘沙門天 山梨市三富徳和
龍光院の福禄寿(ふくろくじゅ)は、その名の通り、福、禄(財)、寿の三つの徳をもたらすと言われています。もともとは、中国の道教の神様であり、南斗星の化身である南極老人という仙人です。中国では古くから信仰されていたようで、南斗星の観測を皇帝が盛んにおこない、国の安定を祈っていました。
中国の仙人の容姿で、長い頭で白髭をはやし、巻物を結び付けた杖を持ち、長寿の象徴である鶴と亀を伴っています。三つの徳は道教で最も求められる願い事とされており、日本以上に中国では一般的な神様となります。