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菩薩

普賢菩薩

 真言:オン・サンマヤ・サトバン

 密号:普攝金剛

 普賢菩薩(ふげんぼさつ)は、四菩薩の筆頭にして、大乗仏教の菩薩行、菩提心の象徴であり、金剛薩埵と同体とされる、普くすぐれた理想的な菩薩です。

 その本誓は、普賢十大願に示される通り、一切衆生に根本となる行を説き、その悉くが成就するまでは、願いは尽きないというものです。

 容姿は様々ですが、金剛薩埵のように左手に金剛鈴、右手に五鈷金剛杵を持つ姿や、合掌をする姿などが広く知られています。また、六牙白象に乗る姿も、普賢菩薩の象徴となっています。

 普賢菩薩は前述の通り菩提心を象徴しており、釈迦如来の脇侍として、大乗仏教では文殊菩薩と共に菩薩の筆頭として信仰されています。また、現世利益の延命の功徳に特化した、普賢菩薩の変化身として普賢延命菩薩があります。

文殊菩薩

 真言:ア・ラ・ハ・シャ・ノウ

 密号:吉祥金剛

 文殊菩薩(もんじゅぼさつ)は、四菩薩の一にして、さとりの拠り所となる般若(智慧)を功徳とし、仏法を継ぐことから法王子、また諸仏を生み出す智慧から仏母とも称されています。

 その本誓は、別名の妙音の通り、その智慧による澱みのない弁才にて、一切衆生に仏法を説き、さとりへと引入することです。

 容姿は様々ですが、左手に青蓮華を持ち、その蓮華の上には梵筐が載り、右手に戯論を断ち切る利剣を持っている姿が広く知られています。また、最勝の威徳を示す獅子に乗る姿も、文殊菩薩の象徴となっています。

 文殊菩薩は智慧の菩薩という一方で、貧者や病人の救済をおこなう慈善事業の守り本尊としても信仰され、現在でも文殊会という法要が関西を中心に営まれています。

観音菩薩

 真言:オン・アロリキャ・ソワカ

 密号:本浄金剛

 観音菩薩(かんのんぼさつ)は、四菩薩の一にして、一切衆生の苦を能く聞き、能く観じて救済をおこないます。また、一切を観察することが自在であることから、観自在菩薩とも称します。

 その本誓は、本性清浄ながら苦しみの中にある一切衆生を、大悲をもって救済するために、あらゆるところに姿を変えて現れます。

 容姿は様々ですが、左手に凡夫の心を表わす未開敷蓮華を持ち、右手は施願印を示しています。また、仏の心を表わす開敷蓮華を持つ場合もあります。頭頂には阿弥陀如来を頂く姿が観音菩薩の特徴です。

 阿弥陀如来の脇侍として、勢至菩薩と共に極楽浄土にある姿が広く知られています。また、救済する相手によって姿を変えることから、六観音を代表とする変化観音も高名であり、観音霊場の形成により、日本各所にて信仰を集めています。

弥勒菩薩

 真言:オン・マイタレイヤ・ソワカ

 密号:迅疾金剛

 弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、四菩薩の一にして、釈迦如来の次に仏となることを定められた菩薩で、兜率天にて五十六億七千万年後という、その時を待っています。

 その本誓は、一生補処の菩薩として、大いなる慈心をもって、未来での成仏と衆生救済を確信しているというものです。

 容姿は、左手は施無畏印を示し、右手に宝塔や宝瓶を載せた蓮華を持っています。また、宝冠に塔を頂く姿や、両手は定印にてその上に宝塔を載せる姿などがあります。

 未来仏として多くの信仰を集めており、多様な経典にもその功徳が説かれています。また、弥勒菩薩がその時を待っている兜率天に往生し、未来に共にあろうとする、上生、下生の信仰も、弘法大師を筆頭に古来より信仰されています。

勢至菩薩

 真言:オン・サン・ザンザンサク・ソワカ

 密号:持輪金剛

 勢至菩薩(せいしぼさつ)は、観音菩薩と共に極楽浄土の化主である阿弥陀如来の脇侍であり、大勢至菩薩とも称されます。

 その本誓は、仏の智慧を司り、一切衆生を菩提に向けて大いに勢いよく至らしめ、またその状態に安定させるというものです。

 容姿は、観音菩薩と似ていますが、左手に未開敷蓮華を持つものや、来迎図等では虚心合掌をする姿などがあります。

 前述の通り、阿弥陀如来の脇侍としての姿が一般的に知られており、単独で信仰されることは非常に稀です。ただし、十三仏の信仰では、一周忌の御本尊とされており、日本の仏教の中においては身近に感じられる菩薩でもあります。

金剛薩埵

 真言:オン・バザラ・サトバ・アク

 密号:眞如金剛

 金剛薩埵(こんごうさった)は、執金剛、金剛手などとも称され、金剛のように堅固な菩提心を持つ菩薩として、大日如来から法を授かる秘密主であり、真言宗では修行者の象徴として、重要視される菩薩となっています。

 その本誓は、現世利益を説くものではなく、菩提心の清浄、堅固なることを説き、道を外れる衆生を降伏する勇猛さを持っています。

 容姿は、左手に金剛鈴を持って腰に安じ、右手に五鈷金剛杵を胸前に不縦不横に持つ姿が金剛薩埵の象徴となっています。

 真言宗では付法の八祖のうち、大日如来の次の第二祖となっています。また、浄菩提心の金剛薩埵を主尊とし、煩悩を表わす欲金剛、觸金剛、愛金剛、慢金剛の四菩薩を眷属とする五秘密は、煩悩即菩提を表現した密教的な思想の最たるものです。

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