仏様を考える その5
釈迦如来(釈尊)は、日本の仏教における様々な行事において、本尊として奉られます。旧暦の四月八日には、釈尊の誕生を祝う誕生会(灌仏会)が行われています。七歩歩んで天地を指さした「天上天下唯我独尊」の釈尊像を用い、甘茶を誕生の際に降り注いだ香水に見立てて頭頂から注ぎます。桜の季節でもあることから、各地の寺院で花祭りとして盛んに催されています。
旧暦の二月十五日には、釈尊の入滅に対して、その遺徳を偲び、報恩のための涅槃会(常楽会)が行われています。沙羅双樹の元に北を枕にした釈尊の周りに、菩薩や仏弟子、信者、鳥獣が集い、釈尊の入滅を嘆く情景の「涅槃図」を掲げ、『佛垂般涅槃略説教誡経(佛遺教経)』の読誦を行います。
旧暦の七月十五日には、釈尊の弟子である目連尊者にまつわる盂蘭盆会が行われています。目連尊者の亡母の供養について、釈尊に従って施した『盂蘭盆経』に基づき、先祖などの亡き人の供養のための法要やお墓参りが行われています。
また、釈迦如来は十三仏の一であり、二七日忌の本尊となっています。初七日の不動明王の後を受け、亡き人を仏法の真理へと導いてくれる、寂静の大恩教主です。