仏様を考える その10
阿弥陀如来の梵名には、「アミターバ」と「アミターユス」があり、漢音を充てて阿弥陀となっています。「アミターバ」とは「無量の光」を意味していて、尽きることのない光を照らして、すべての衆生を救うことを意味しています。
また、「アミターユス」とは「無量の寿命」を意味していて、阿弥陀如来の浄土である西方極楽世界での、永遠の命という功徳を示しています。なお、大悲胎蔵生曼荼羅の中台八葉院の五仏では、無量寿如来と呼ばれており、その根本となる経典の一つも『仏説無量寿経』とあるため、この「アミターユス」が広く普及している名称であると考えられます。
この『仏説無量寿経』では、阿弥陀如来が覚者となる前の法蔵菩薩時代に、世自在王仏のもとで出家し、永劫にわたる修行を経て、四十八願を成就して阿弥陀如来となる過程が記されています。そして、西方極楽世界への往生の重要性と、念仏による往生の方法が説かれています。
『仏説無量寿経』は、『観無量寿経』、『仏説阿弥陀経』をあわせて、浄土三部経と呼ばれています。特に日本における平安時代末期の「末法思想」の到来を経て、この三部経にもとづく教えが浄土信仰の中核となり、いわゆる極楽浄土への往生という浄土信仰が日本の隅々まで広がっていきました。
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